近年は医療業界における情報公開が大きく進み、医師による医薬品の選択の判断基準が多様化したため、製薬企業は従来のようなMR(医薬担当情報者)によるローラー作戦だけでは通用しなくなってきています。
そのため、最近は、病院連携の核となる病院の医師との関係によって系列医療機関に医薬品情報を波及させたり、DTC広告によって患者の意識を買えて市場を開拓するなどの戦略がとられるようになってきました。
重度疾患や救急医療などの高度医療を提供する、病床200床以上の大病院を「地域中核型病院」といいますが、地域の医療間から重い症状の患者や詳細な検査が必要な患者を受け入れたり、病状が安定した患者を地域の医療機関に紹介したり、他の病院と定期的に勉強会を開くなどの活動を行っています。
そのため、地域中核型の病院で医薬品を採用してもらえれば、その影響は他の委員や診療所にも及ぶのです。今後は地域中核型の病院の数は減少するといわれていますが、キーとなる病院の薬局長・医療連携室長・部長医師などと関係を築くことは、以前にも増して重要になっているのです。
DTC広告とは、医療用医薬品に関する情報を消費者へ届ける広告のことです。アメリカと違って日本では、医療用医薬品の広告では商品名を出せないために、これまであまり盛んではありませんでした。しかし最近は、IBS(過敏性腸症候群)、ED(勃起障害)、AGA(男性型脱毛症)、頻尿など、潜在患者が多い病気において、DTC広告を使うケースが増えています。
これは、潜在患者に対して広告によって、自分の症状が病気かもしれないこと、治療が可能であることを伝えて、市場を開拓するのが狙いです。また、患者が意識に対して、医薬品の処方を促すなどの効果も想定されています。