国内・外資系企業を問わず、その大きな収益源であるブロックバスター(大型医薬品)の特許が、2010年頃から次々と切れて、収益力が低下することが予想されています。この状況を打開するためには画期的な新薬の開発が必要ですが、既存の化学創薬アプローチによる開発では難しいと指摘されています。

2010年以降に相次ぐブロックバスターの特許切れ

そのため外資系の製薬会社では、90年代から、新しいアプローチによる新薬開発に必要な研究開発予算を確保し、また既存薬や新薬を世界中のマーケットで販売できるように吸収・合併を繰り返してきました。以下に、大規定薬品の特許切れについて簡単に紹介しましょう。

国内では、武田薬品工業、第一三共、アステラス、エーザイのいずれもが特許切れの影響を受けてます。武田では抗潰瘍剤のタケプロン、糖尿病治療薬のアクトス、高血圧治療薬のブロプレス、抗がん剤のリュープリンが、第一三共では高脂血症の治療薬として世界的に有名なメバロチンをはじめ、抗菌薬のクラビット、高血圧治療薬のオルメテック、アステラス製薬では免疫抑制剤のプログラフ、前立腺肥大症治療薬のハルナール、頻尿防止薬のベシケアが、エーザイではアルツハイマー治療薬のアリセプト、抗潰瘍剤のパリエットが特許切れを迎えます。

外資系製薬会社では、メルクが高血圧症の治療薬であるコザールが、グラクソ・スミスクラインが抗うつ剤のパキシル、ファイザーが高脂血症治療薬のリピトール、ED(勃起機能低下)治療薬のバイアグラの特許切れによって大きな影響を受けるといわれています。

全世界売上トップを誇るリピトールは年間売り上げが130億ドルですが、アメリカでは特許の失効後わずか3日で9割がジェネリック医薬品に取って代わられたというデータもあり、企業経営への重大な影響が予想されます。そのため外資系のなかには自ら薬価を下げて、後発品の参入を防ぐという戦略をとる企業も増えています。