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医師の処方箋が必要な医療用医薬品

病気の診断や治療、あるいは予防に使用される薬のことを「医薬品」といいますが、その用途により医療用と一般用に分けることができます。いずれも薬事法によって、研究・開発、製造、販売が厳しく規制されています。

私たちが普段の生活で最もなじみがあるのは、ドラッグストアなどで販売されている一般用医薬品ですが、国内における医薬品の生産金額のわずか10%を占めているに過ぎません。

一方、生産金額のおよそ90%を占めているのが、主に病院で使用されている医療用医薬品です。なお、歯磨き粉や日焼け止めクリームなどは、薬事法によって医薬品と区別され、医薬部外品と呼ばれています。

医療用医薬品を購入しようと思っても、患者は直接購入することはできません。病院で診察を受けて、その診察に基づいて医師・歯科医師が処方箋を作成します。その処方箋を調剤薬局へ持参して、初めて購入することができます。

しかし、たとえ処方箋を持っていても患者が好きな医薬品を購入できるわけではなく、購入できるのは医師が処方箋で指示をしたもののみに限られています。処方箋では、処方する医薬品を製品名(商品名)、一般名(成分名)のいずれでも指示をすることができます。

一般名で指示されている場合は、有効成分が同じであれば、どの医薬品でも購入することができます。一方、商品名で指示されている場合は、その支持された商品名の医薬品しか購入することはできません。

2008年の処方箋様式の変更に伴って「後発品への変更不可」という欄に医師の署名がない処方箋ならば、一般名の同じ後発品も購入できるようになりました。

  


製薬会社の営業「MR」とそれを支える「学術部門」

製薬会社の営業はMR(医薬情報担当者)と呼ばれ、一般企業における営業職のように「物を売る」役割よりも、「情報を伝える」役割を多く担う職種です。

医薬品の納品や代金回収は、通常、MS(医薬品卸)の仕事であり、MRは医療機関の医師や薬剤師を訪問して、医薬品の対象となる疾患や患者、そしてその用法や用量などを、正確に伝えて理解してもらうことにより、その販売を促進するのです。

こうしたMRの仕事をサポートするのが、製薬会社の学術部門です。学術部門は、MRに医薬品のメカニズム・服用方法・副作用を伝えながら、医師に対しても直接医療情報を発信します。また海外の販売に当たっては、海外部門が現地販売計画の立案、現地生産拠点の開発・運営、海外における薬剤の申請・審査・承認業務をサポートします。

そのほか、法務部門は医薬品という知的財産権を守るために、特許・商標・容器などの権利の保護・譲渡・交換などの業務に携わっています。

  


販促のカギは地域中核型病院とDTC広告

近年は医療業界における情報公開が大きく進み、医師による医薬品の選択の判断基準が多様化したため、製薬企業は従来のようなMR(医薬担当情報者)によるローラー作戦だけでは通用しなくなってきています。

そのため、最近は、病院連携の核となる病院の医師との関係によって系列医療機関に医薬品情報を波及させたり、DTC広告によって患者の意識を買えて市場を開拓するなどの戦略がとられるようになってきました。

重度疾患や救急医療などの高度医療を提供する、病床200床以上の大病院を「地域中核型病院」といいますが、地域の医療間から重い症状の患者や詳細な検査が必要な患者を受け入れたり、病状が安定した患者を地域の医療機関に紹介したり、他の病院と定期的に勉強会を開くなどの活動を行っています。

そのため、地域中核型の病院で医薬品を採用してもらえれば、その影響は他の委員や診療所にも及ぶのです。今後は地域中核型の病院の数は減少するといわれていますが、キーとなる病院の薬局長・医療連携室長・部長医師などと関係を築くことは、以前にも増して重要になっているのです。

DTC広告とは、医療用医薬品に関する情報を消費者へ届ける広告のことです。アメリカと違って日本では、医療用医薬品の広告では商品名を出せないために、これまであまり盛んではありませんでした。しかし最近は、IBS(過敏性腸症候群)、ED(勃起障害)、AGA(男性型脱毛症)、頻尿など、潜在患者が多い病気において、DTC広告を使うケースが増えています。

これは、潜在患者に対して広告によって、自分の症状が病気かもしれないこと、治療が可能であることを伝えて、市場を開拓するのが狙いです。また、患者が意識に対して、医薬品の処方を促すなどの効果も想定されています。

  


2010年以降に相次ぐブロックバスターの特許切れ

国内・外資系企業を問わず、その大きな収益源であるブロックバスター(大型医薬品)の特許が、2010年頃から次々と切れて、収益力が低下することが予想されています。この状況を打開するためには画期的な新薬の開発が必要ですが、既存の化学創薬アプローチによる開発では難しいと指摘されています。

そのため外資系の製薬会社では、90年代から、新しいアプローチによる新薬開発に必要な研究開発予算を確保し、また既存薬や新薬を世界中のマーケットで販売できるように吸収・合併を繰り返してきました。以下に、大規定薬品の特許切れについて簡単に紹介しましょう。

国内では、武田薬品工業、第一三共、アステラス、エーザイのいずれもが特許切れの影響を受けてます。武田では抗潰瘍剤のタケプロン、糖尿病治療薬のアクトス、高血圧治療薬のブロプレス、抗がん剤のリュープリンが、第一三共では高脂血症の治療薬として世界的に有名なメバロチンをはじめ、抗菌薬のクラビット、高血圧治療薬のオルメテック、アステラス製薬では免疫抑制剤のプログラフ、前立腺肥大症治療薬のハルナール、頻尿防止薬のベシケアが、エーザイではアルツハイマー治療薬のアリセプト、抗潰瘍剤のパリエットが特許切れを迎えます。

外資系製薬会社では、メルクが高血圧症の治療薬であるコザールが、グラクソ・スミスクラインが抗うつ剤のパキシル、ファイザーが高脂血症治療薬のリピトール、ED(勃起機能低下)治療薬のバイアグラの特許切れによって大きな影響を受けるといわれています。

全世界売上トップを誇るリピトールは年間売り上げが130億ドルですが、アメリカでは特許の失効後わずか3日で9割がジェネリック医薬品に取って代わられたというデータもあり、企業経営への重大な影響が予想されます。そのため外資系のなかには自ら薬価を下げて、後発品の参入を防ぐという戦略をとる企業も増えています。

  


シェア3割を目指すジェネリック医薬品

右肩上がりの医療費の抑制、医薬分業、先発品と同等の効果・安全性を証明する「生物学的同等性試験データ」の開示などの影響もあって、ジェネリック医薬品の市場は、医療用医薬品の2割程度を占めているといわれています。

さらに欧米諸国では4~5割のシェアであることから、日本でも厚生労働省が「2012年までに3割を目標に、使用促進に努める」との方針を発表していますので、今後更なる拡大が見込まれています。

そのため、製薬会社はジェネリック医薬品を積極的に生産するようになっていますが、通常薬価が2割以上安く、薬価改定が1年で行われるため、開発費事態は抑えられるものの、製薬会社にとっては売上が大きく減少するのではと懸念されています。

日本国内の代表的なジェネリックメーカーには、俳優の高橋英樹さんを起用したCMでお馴染みの沢井製薬、黒柳徹子さんのCMを放送している東和薬品、日医工、大洋薬品工業などの7社が挙げられます。

今後は世界最大のジェネリック医薬品メーカーであるイスラエルのテバやインド最大のランバクシー・ラボラトリーズの参入などがあり、シェアを巡る市場競争は激しくなると予想されています。

  


特化型の企業が強い一般用医薬品の市場

効能が安定し、副作用も少ないことから、医師の処方箋がなくても薬局などで自由に購入することができる薬のことを「一般用医薬品」といい、大衆薬・市販薬・OTC(オーバー・ザ・カウンターの略)薬とも言われています。

一般用医薬品は消費財ですので、TVコマーシャルや雑誌の広告などで目にすることが多く、普段は薬に縁のない方でもかぜ薬のパブロン、ベンザブロック、ルル、解熱剤のバファリン、ノーシン、イヴ、ナロンエース、胃腸薬のガスター、大田胃酸、大正漢方胃腸薬などはご存知なのではないでしょうか。

従来は多くの医薬品企業が、医師の処方箋が必要な医療用医薬品と一般用医薬品の両方を製造・販売していましたが、2000年以降は、一部の企業が利益率の高い医療用医薬品事業に特化した戦略をとり、一般用医薬品事業を他社に売却するなどの動きが盛んになりました。

例えば、アステラス製薬は第一三共に、大日本住友製薬は興和に、田辺三菱製薬は佐藤製薬に、それぞれ一般用医薬品事業を売却しています。一方、エスエス製薬は医療用医薬品事業を久光製薬に売却しています。

現在でも医療用と一般用の両方を手掛けている企業は多いですが、一般用医薬品市場における医薬品企業の地位は、医療用の市場とは大きく異なります。

市場のトップ企業は、かぜ薬から解熱鎮痛薬、胃腸薬、ドリンク剤まで幅広い病気の製品を提供している大正製薬であり、そのほかにもエスエス製薬、興和、ロート製薬、小林製薬などが活躍しています。また近年は、ライオンやクラシエ(旧カネボウ)などの家庭用用品メーカーも、市場に参入しています。

「主治医が見つかる診療所」で特集された八王子クリニックをはじめ、MRIやCTで脳の血管障害を早期に発見する東京都内の脳ドックを紹介しています。

  


ロート製薬

1899年に大阪で誕生した信天堂山田安民薬房が、戦後の1949年に社名を変えたのが、目薬などのCMで有名なロート製薬。創業時から一般用医薬品の中でも特に点眼薬と胃腸薬を中心に成長してきました。

アメリカのメンソレータム社から商標の専用使用権を取得して、皮膚治療薬でお馴染みのメンソレータムを発売すると、1988年には同社を買収し、外皮用剤の市場へと進出しました。その後は、日焼け止めのサンプレイサンスクリーンクリームでサンケア市場に、コンタクトレンズ用剤のロートCキューブ、ロートIQでコンタクトレンズ市場に参入を果たしています。

ロート製薬は、一般用医薬品、医薬部外品、医療機器などを製造・販売していますが、アイケアやスキンケア、内服関連、その他など、用途に基づいた4つの分野で事業を展開してます。

創業当時から手掛けていた点眼薬を含むアイケア関連が全体の25%、胃腸薬などの内服関連が15%を占めていますが、現在の事業の中心は55%を占めるスキンケア関連事業です。

その主要製品は、シミを防止するオレゾ・プレUVベースコート、日焼け止めのメンソレータム・スキンアクアなどです。一方、アイケア関連の主要製品は、点眼薬のロートCキューブなどです。

感染対策、人工呼吸、採血、AEDなどの実技、最新医療の講習などを看護師 復職支援セミナーで身に付けて、医療の現場復帰に向けて第一歩を踏み出すママさんナースが増えています。

  


エスエス製薬

最近は市村正親をCMキャラに起用した「エスカップ」が絶好調。一般用医薬品に特化した事業を展開しているエスエス製薬の歴史は古く、漢薬本舗として東京の八重洲に創業したのが1765年、1927年には株式会社瓢箪屋薬房(ひょうたんややくぼう)となり、1940年に現在の社名となりました。

ドリンク剤「エスカップ」、日本初の一般用イブプロフェン製剤「イブ」、イブプロフェン配合の風邪薬「エスタックイブ」、胃腸薬「ガストール」などを発売して、一般用医薬品メーカーの大手の地位を築きました。

以前は、医療用医薬品の研究・開発を目剤して研究所を設立し、抗菌薬「アトラント」、睡眠障害改善薬「ドラール」などを開発・発売していましたが、医療用医薬品事業は2005年に久光製薬に譲渡されました。

また、2001年に同社はドイツのベーリンガーインゲルハイムの傘下に入り、ベーリンガーの医療用医薬品については日本ベーリンガーを通じて行い、一般用医薬品事業はエスエス製薬を通じて行うことになりました。また、製造の合理化も進めており、富山工場を新薬の臨床試験や承認申請などを引き受けるCRO事業や、薬の製造などを引き受けるCMO事業を中心とするシミックに譲渡しています。

同社の業績を支えている主力製品には先述のエスカップやかぜ薬のイブをはじめ、ビタミン剤のハイチオール、咳止めのブロン、睡眠改善薬のドリエルなどが挙げられます。

  


大正製薬

一般用医薬品メーカーのトップを走り続ける大正製薬は1912年に創業した大正製薬所を源流としており、1927年には現在でもかぜ薬として広く利用されている「パブロン(当時は咳止め)」を発売しています。

戦後に現在の社名へと改称してからは、皮膚病薬の「ダマリン」、目薬の「アイリス」、鎮痛薬の「ナロン」、胃腸薬「大正漢方胃腸薬」、ファイトー!一発!!!のCMでお馴染みの「リポビタンD」、そして1999年には日本初となる壮年性脱毛症治療薬の「リアップ」を発売するなど、数多くのヒット商品を生み出しています。

一方、医療用医薬品の研究・開発を手掛けるために1974年には総合研究所を建設しており、胃炎・胃潰瘍治療薬の「ソロン」、末梢循環改善薬の「パルクス」、抗生物質の「クラリス」など、医療用医薬品も数多く発売しています。

大正製薬は、他の一般用医薬品メーカーが一般用医薬品の事業に特化しているのに対し、医療用医薬品の事業費率が高いのが特徴で全体の40%を占めています。特に抗生物質のクラリスは世界130カ国以上で販売されていることから見ても、その高い技術力が伺えます。

一般用医薬品事業の主力製品は、パブロン、大正漢方胃腸薬、便秘薬のコーラック、リポビタンD、リアップ、腟カンジダ再発治療薬のメディトリートなどであり、国民に対する知名度の高い製品が多くなっています。一方、医療用のほうではクラリスを始め、パルクス、非ステロイド性消炎鎮痛剤のロルカム、ソロンなどが挙げられます

  


医薬品企業の種類

服用に当たり、医師や歯科医師の処方箋が必要になるお薬を「医療用医薬品」といいますが、業界ビッグ4と呼ばれる武田薬品工業第一三共アステラス製薬エーザイはいずれも、この医療用医薬品のみを作って販売している「専業メーカー」となります。

ビッグ4のうち、武田・第一三共の前身である三共などは、化学製品や食料品などを扱っていた時期もありましたが、現在は医薬品に特化した事業を展開しています。

もともと医薬品以外の製品を作って販売していたものの、新たに医薬品も手掛けるようになた企業は「兼業メーカー」になります。例えばビールや各種飲料で大きなシェアを誇るキリンビールは、実は医薬品も作って売っている兼業メーカーなのです。

古くは、ドイツのバイエル、ヘキスト(現:セラニーズ)、BASFなどは、いずれも総合化学を主とする兼業メーカーでしたが、現在は医薬品と総合化学を分離しています。

パブロンやリポビタンDなどでお馴染みの大正製薬、エスタックのエスエス製薬、目薬やメンソレータムのロート製薬など主に大衆薬といわれる「一般用医薬品」を作っている企業は一般用医薬品メーカーといいます。

大衆薬は病院ではなく、主にドラッグストアなどで販売され、テレビCMでもよく目にします。武田やアステラスの前身である山之内製薬のような専業メーカーが参入していた時期もありましたが、現在は扱っていません。